「
漫画道 62歩目」の続き。
編集「先日はどうも」
挨拶もそこそこに本題に。
編集「編集長の評価はとても高かったですよ!いいお話ができそうです」
いいお話?
ということで、そのいいお話を伺いに出版社に赴く。
いつも通り受付を済ませてまっていると、担当編集者がやって来た。それと同時にちょい悪系のオッサンも後ろを歩いてきた。単に同じ方向に進んでいるだけだなと気に留めずにいた。
担当とサッサとテーブルに付こうとすると、オッサンが名刺を取り出す。
オッサン「編集長の○○です」
太郎「・・・は、はじめましトェッ!」
不意打ちだった。担当も連れて来るなら事前に言っとけ!
やっとこの業界に入って・・・えっと何年だっけ?記事を遡ると描き始めたのが4年半位?賞取ってアシ始めたのが本格参入とすると3年かな。(こういう時ブログやってて良かったと思う。他にあまりないけど。)
とにかく、ようやくラスボスに辿り着いたわけだ。
編長「いやーこれね、良く描けてるねぇ」
とオイラの原稿を広げる。
太郎「ありがとうございます」
編長「構成力が特にスゴイ」
太郎「ありがとうございます」
編長「絵の抜き加減、入れ加減がすばらしい」
太郎「ありがとうございます」
ハラショー!何か、ひたすら誉められて、誉め倒されんばかりの勢い。
こうなると逆にちょっと怖いんだよね。
編長「私はこういう漫画好きだし、載せたいとは思うんだけどね・・・」
だけどね・・・
編長「ページ数が長すぎて難しいかもしれないんだ」
ページ数。ページ数ですか!意外、全くの意外!
大人の都合ってやつですか!
(ってまぁ、前回担当も言ってはいましたけど)
ページ数が長いのは前の載せる載せる詐欺の所為ですよ!
とは言えませんし、編集長が言っているのに
「何とかしてくださいよ〜」なんて言えるわけも無いので、
太郎「そうなんですか」
とポツリ。
編長「申し訳ない。ただ是非、妄想さんにはウチで描いて頂きたいと思っているんです。どこかで掲載された経験は?」
いや、だから無いって担当に言ってあるわけだが、まぁもう一度
太郎「残念ながら、まだ」
編長「ああ、そうかぁ、無いかぁ。うん、よし、だったらまずは読み切りを載せましょう」
読み切りとな?
つーか、もうこの原稿は日の光を浴びんのか!刹那的!
(後々、担当が短編集に収録すればいいじゃないですか、って言うんだ。どんなメルヘン男子だよ。獲らぬ狸の皮算用とは正にこのこと・・・。)
その後、昔何してましたとか、こういう読み切りがいいですねぇ、とかワイワイ打ち合わせ。終始編集長の目を目詰める太郎。オッサン、ラスボスだけあって目力あるのよ、ホント。緊張した。
で、結構時間も経ち、
編長「ではそろそろ私は失礼します。是非、ウチで宜しくお願いします」
太郎「ありがとうございます。こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします」
大人な挨拶。編集長は退室。
スッカリ陰に隠れていた担当復活。編集者もやっぱりサラリーマン。
編集「というわけで読み切りみたいですね」
太郎「なんですか、その入りは」
そもそも担当編集者は連載に向けての話を考えていたっぽい。何となくの話を推測するに、オイラがまだ掲載歴がないと知った編集長がその場で読みきりに変更した模様。おいおい。
おいっ!
編集「まずはいくつかプロット出して行きましょう」
太郎「ですね」
ここからはどこも変わりません。
まずはプロット。
編集「前は何されてたんですか?」
太郎「えっと商社で働いてました。で、辞めて漫画描いて1年位で賞に引っ掛かって」
編集「へぇ。もうどのくらい漫画描いているんですか?」
太郎「恐らく4、5年ですかね」
そこで編集者が妙にエキサイトしだす。
編集「ええっ!!4、5年なんですか!?10年はやっている人のクオリティですよ」
太郎「そ、そうですか?ありがとうございます」
編集「辞める前から描いてたんでしょ?」
太郎「いえ、辞めてからですね、最初は酷かった」
編集「美大ですか?」
太郎「そんなわけないですよ」
編集「デッサンを習っていたとか」
太郎「いえ、別に」
疑い深いよ、あんた。
編集「いや〜、分かった、アレだ、アレ」
太郎「アレ?」
編集「天才だ」
ぶふぅーーーーーっ
お茶無かったけど、吹きたくてお茶探したよ。
太郎「て、天才ではないと思います」
編集「いえ、天才です。天才。10年やっても描けない人は描けない」
そっから編集者は壊れたように天才天才うるさくて、誉めてくれるのは嬉しいのだが、はっきり言って天才では断じて無いし、何より天才って言葉はあまり好きではないので、
太郎「ハードル上がるんでそこら辺で勘弁してください」
編集「うんうん、そっかー」
聞いてねぇ。
ひたすら上がったハードルは下がることなくお開きに。すっげぇ気が重い。
一応、そう言われてしまったので、ブログに書きましたが、もう一度言います、絶対に天才ではない。だったらとっくにデビューしているはず!
・・・というわけで、気持ち的に沈んでいたし、載せる載せる詐欺に遭ったもんで、もう辞めるかなと心が折れそうだったオイラ。
この出版社に来て、やたら(過剰に)誉められて、誉められすぎて逆に怪しくもあるが、編集長直々に「ウチで是非」と言われてしまったら、断るセリフをオイラは持ち合わせていない。
やろう!もう一踏ん張り、ラスト勝負!
そう心に誓った。
実は当初漫画を始めた時に「いつまで」というタイムリミットを決めていた。そのタイムリミットをちょうど迎えており、親にも心配を掛け続ける訳にもいかないのでその考えを話してあった。
担当にちょっと最後にそんな話を話したら、「僕が親御さんを説得してもいいですよ」、そこまでする?と思ったが、それもまた嬉しくもあったりもした。
捨てる神有れば拾う神有り、とは良く言ったもの。でもそんな神様は向こうから来てくれるものではないんだよね。
その後、プロットを何度か打ち合わせして、ネームに入り、ネームの直しも終え、編集長まで回してもらい、OKが出ました。
いよいよ作画です。いつの号に載るかは出来上がりの時期にもよるのでまだ決まってはいません。またどうせ載せる載せる詐欺じゃねぇの?という不安は常にあります。編集長がGOを出したのでそういったことは無いと思いたい。
はい。というわけで、まだまだこのブログ、続けます。